第七回 湖風祭公演 「My 舞 Best」


平成十三年十一月十一日(日) 正午始
於 交流センターホール
   My 舞 Best

 連吟 鶴亀

 仕舞 小鍛冶キリ
     胡蝶
     籠太鼓

 連吟 放下僧

 仕舞 松虫キリ
     大江山

 連吟 菊慈童

 仕舞 経正クセ
     船弁慶クセ
     猩々


主催 滋賀県立大学能楽部
指導 深野新次郎



連吟・鶴亀


  今日は元旦の節会の日。宴が行われている。その場所は、月世界の宮殿のよう。庭は金銀の玉をつなぎ、床には幾重にも錦を敷き、戸は瑠璃、桁はしゃこう、橋はめのうで作られている。そして池のみぎわには、帝に長寿をお授けする鶴と亀がいる。その様は、海のかなたにあり仙人が住むといわれている蓬莱山と少しも変わりはない。そして、鶴と亀が毎年のように舞うと、その後に帝も舞う。国土は栄えていくだろう。なんとめでたい御代なのだろう。

<五期生 R.T>



仕舞・小鍛冶キリ


  小鍛冶宗近は帝に、剣を打つことを命じられた。そこで宗近は、相槌を打つ相手を求めて稲荷明神に祈願に行くと、童子が現れる。童子は力を貸し与えようと言い残し、稲荷山に消えた。
  その後宗近の元に、童子の言ったように相槌の相手が現れる。できた刀の表銘に「宗近」と、裏銘には「小狐」と明瞭に刻む。剣の立派さは天の叢雲の剣を思わせる。この剣で国土を治めれば、平和な世となるだろう。そして私は稲荷台明神なのだ。そう言うと、剣を勅使に捧げて稲荷山に帰っていった。

<五期生 R.T>



仕舞・胡蝶


  僧が梅の花見物をしていると、女性が現れ話をしてくれます。
  実は彼女は胡蝶の精。梅花とだけは縁がないので、法華経の功徳を受けたく思います。そして梅花と舞い戯れたいのですと言い、消えていきます。
 その後、僧が木陰で仮寝していると、胡蝶が夢に出て来て法華妙典の功力により、梅花とも縁を得たことを喜びます。そして花に飛び交う胡蝶の舞を見せて、やがて春の夜の明けて行く空に、霞にまぎれて去っていきます。

<五期生 R.T>



舞・籠太鼓


  女は罪を犯した夫の身代わりとして、牢に入れられています。しかし悲しみにより女が狂気を起こします。それを見た領主は夫の居場所を言うならば、牢から出してやろうと言いますが、拒みます。そして牢にかけられている時を知らせる太鼓を心の慰めにと打ちます。しかしかえって狂乱が増し、この牢こそ愛する夫の形見だから出ないと言い、懐かしいこの牢を離れないと牢に入ってしまいます。その姿の痛々しさに領主は神明に夫婦の赦免を強く約束します。

<五期生 R.T>



吟・放下僧


 ある兄弟が父の仇を討つため、放下僧(僧形の芸人)の姿になって仇に近づき、この小歌に合わせて舞います。

都の東では、清水寺にある音羽の滝の音と風に、地主権現の桜が美しく乱れ散る。西では嵯峨の臨川寺の水車が回る。川辺の柳は水面に枝を垂れて水に揉まれる。雀は竹に、都の牛は車に、茶臼は引き木に揉まれる。そして、コキリコ(竹製の楽器)は我々放下僧に揉まれる。この竹の節のように、今は代々を重ねた平和な御代である。

 この舞によって仇は油断したので、見事討つことができたのでした。

<五期生 H.Y>



舞・松虫キリ

  昔二人の男が連れ立って歩くうち、一人が松虫の声に魅せられて草むらに入ったまま、帰らぬ人となります。残された一人も後日、友の後を追うように死んでいました。
  そう昔語りをする男。それは亡霊となった本人だったのです。草むらから聞こえる機織虫、きりぎりす、ひぐらしの声。その中に、あの松虫の声も聞こえてきます。りんりん、という声が夜の静寂をさらに感じさせます。そのうち寺の鐘も鳴り、朝になるので、亡霊は名残惜しそうに消えていったのでした。

<五期生 H.Y>



舞・大江山


  源頼光たちは大江山に住む鬼を退治するため、山伏に変装して都を出ます。そして、大江山で道に迷ったふりをして、鬼の化身である童子の住家に泊めてもらいます。
  童子は一行を迎え酒宴を開きます。自分は鬼であることを悟られないよう、顔が赤いのは酒がまわっているためだと言い、頼光たちに心を許していきました。やがて、障子を押し開けて寝室に入っていきます。その後、頼光は鬼となった童子を倒し、都へ帰ったのでした。

<五期生 H.Y>



吟・菊慈童


  周の穆王に仕える少年・慈童。彼は王の枕をまたいだ罪で流罪となる。しかし彼を哀れに思う穆王は別れに際し経文を書いた枕を与える。その経文を菊の葉に書くと、葉をつたう露は霊薬となって川を流れ、その水を飲んだ慈童は不老不死となる。
  七百年の時を越え、慈童は流刑の地である山で、菊の花に囲まれ行き続けている。人類の夢である不老不死の身となった慈童。しかし彼は自分が不老不死であることに気付かず、独りである寂しさを謡うのであった。

<五期生 A.M>



舞・経正クセ


  一ノ谷の合戦でなくなった平経正が、弔いに感謝し、姿を現しました。彼は琵琶の名手でした。その琵琶の第一、第二の鉉は松の葉を落として絶え絶えに響き、消え入りそうです。第三、第四の鉉は夜の鶴の声を思い出させます。この宴が早く終わらないよう、彼は鶏が鳴くのを遅らせてほしいと願います。それは、鳳凰が翼を連ねて舞い遊ぶように楽しいのでした。舞の袖を返すように昔を思い返し、夜は更けていきました。

<五期生 H.Y>



舞・船弁慶クセ


  義経は、兄頼朝からあらぬ疑いをかけられてしまう。身の潔白を証明するため都から離れる義経。静御前は、大物乃浦まで彼を慕って来る。静は義経と再会を果たすが義経の口から出たのは、都に帰るようにとの言葉であった。悲しみに暮れる静。しかしその悲しみをこらえて義経の船出を祝い、そして再び会えることを祈りつつ一行の前で舞を舞う。その哀れさに一行はただ涙を流すばかりであった。

<五期生 A.M>



舞・猩々


  親孝行の高風は、不思議な夢を見ました。それは揚子の市で酒を売ると幸せになるという夢でした。夢の通りに酒を売り始めると、本当にお金がたまっていくではありませんか。加えて高風は海中に住むお酒の大好きな妖精・猩々にも出会います。高風は猩々に銘酒をプレゼントしました。酒を飲んでいい気分になった猩々は舞を舞います。また高風の素直な心を誉めた猩々は、無限にお酒が湧き出る壷を授けました。こうして夢のとおり高風は、幸せになったのでした。

<五期生 A.M>